氏 名 | ささき やすたか 佐々木 康孝 |
本籍(国籍) | 宮城県 |
学位の種類 | 博士 (農学) | 学位記番号 | 連研 第431号 |
学位授与年月日 | 平成20年9月30日 | 学位授与の要件 | 学位規則第5条第1項該当 課程博士 |
研究科及び専攻 | 連合農学研究科 生物資源科学専攻 | ||
学位論文題目 | 微生物由来のグリコール系糖類酸化酵素に関する研究 ( Studies on microbial oxidases for ethylene glycol and its related compounds ) |
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論文の内容の要旨 | |||
エチレングリコールから連続的酸化反応により、グリオキシル酸を生成することを目的として、 本研究ではオキシダーゼのスクリーニングを行い、これらのオキシダーゼを産生する微生物として Paenibacillus sp. AIU 311および Pseudomonas sp. AIU 362株を土壌より見出した。 次に Paenibacillus sp. AIU 311株が産生する酵素を精製して諸性質について検討し、 本酵素が分子量24 kDaのサブユニットからなるホモダイマーであり、 アルデヒドアルコールの水酸基を特異的に酸化するアルコールオキシダーゼ(AOD)であることを明らかにした。 本精製酵素のNH2-末端アミノ酸配列は既知の微生物由来のAODの配列とは異なっており、 微生物由来のSODと高い相同性を示した。 さらに本酵素はSOD活性を示し、他の微生物由来のSODが本酵素と同様にグリコールアルデヒドおよびグリセルアルデヒドに 対するオキシダーゼ活性を示すことを明らかにした。 これらの結果から、この Paenibacillus sp. AIU 311株の産生する酵素がMn2+-SODと非常に近いグループに 属する酵素であることが示唆された。 また、酵素の遺伝子的解析を行った結果、本酵素が205のアミノ酸をコードする618 bpのDNA鎖で構成されていることを確認した。 本酵素のアミノ酸配列は微生物由来のAODの配列とは相同性が認められず、 Bacillus 属などの細菌由来のSODと高い相同性を示した。 さらに、得られたDNA配列を元に E.coli における発現系の構築に成功した。 この E.coli 菌体での発現により得られた酵素も、 Paenibacillus sp. AIU 311株の産生する酵素と同様に グリコールアルデヒドに対するオキシダーゼ活性を示した。 続いて Pseudomonas sp. AIU 362株産生酵素についても検討を行い、 本酵素が基質の近接するアルデヒド基を識別する基質特異性を有しているアルデヒドオキシダーゼ(ALOD)であることを明らかにした。 これまでに報告されているいくつかの微生物が産生するALODが、分子量140~150 kDaのヘテロトリマーであるのに対して 本酵素は分子量95 kDaのホモテトラマーであり、この酵素のN末端アミノ酸配列と既知の微生物由来の アルデヒドオキシダーゼの配列との相同性は認められなかった。 これらの結果より、 Pseudomonas sp. AIU 362株の産生するALODの新規性が示された。 さらに酵素の遺伝子的解析を行い、この酵素が888 bpのDNA鎖で構成されており、 295のアミノ酸をコードしていることを明らかにした。 本酵素のアミノ酸配列は、微生物由来のALODの配列と大きく異なり、Pseudomonas 属細菌の産生する 3-Hydroxyisobutyrate dehydrogenaseの配列と高い相同性を示した。 また、得られたDNA配列より E.coli における発現系の構築し、Pseudomonas sp. AIU 362株が 産生するALODと同様にグリオキサールに対して高いオキシダーゼ活性を示す酵素の発現が認められた。 |