氏 名 | いしかわ なおと 石川 尚人 |
本籍(国籍) | 茨城県 |
学位の種類 | 博士 (農学) | 学位記番号 | 連論 第100号 |
学位授与年月日 | 平成17年9月30日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項該当 論文博士 |
研究科及び専攻 | 連合農学研究科 | ||
学位論文題目 | 反すう家畜における塩生殖物アッケシソウ(Salicornia herbacea L.)の飼料化に関する研究 ( A study on saltwort (Salicornia herbacea L.), a kind of halohphytes, as feed for ruminants ) |
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論文の内容の要旨 | |||
地球規模で拡大しつつある砂漠化/土地荒廃の一因である塩類集積地の修復を目的とした 農業生産体系の構築の一環として、本研究では主に塩生植物アッケシソウ(Salicornia herbacea L.)の 反すう家畜における飼料化について検討した。 塩生植物の灰分含有率、灰分溶出率、浸透圧および非タンパク態窒素化合物の含有率は一般的な 飼料と比べて高く、NaCl含有率が高いことによる特性が際立つ結果となった。 また、塩生植物の可溶性タンパク質の含有率は高く、繊維の消化率は低いことが示された(第2章)。 アッケシソウの粗タンパク含有率、乾物消失率およびNDF消化率は生長に伴い低下したものの、 可消化成分の収量は増加し、開花後種子登熟期に最も多くなったことから、アッケシソウの飼料としての 収穫時期は種子登熟期が適切であると考えられた。 アッケシソウの乾物および粗タンパク質はルーメン内で速やかに分解される画分が多く、 繊維の消失率は低いものであった。一方、アッケシソウのミネラル含有率は高く、Na、KおよびMgはウシの ルーメン内では速やかに吸収されることが明らかとなった(第3章)。 実際にアッケシソウを飼料として家畜に与えた実験から、アッケシソウはエネルギー含有率が極めて低いものの、 可消化タンパク質やミネラルを豊富に含有することから、これらの成分を補給するための飼料として用いることができることが 示された。 アッケシソウの可溶性タンパク質中には、ルーメン内微生物による利用性の高い画分、利用に時間のかかる画分 および利用されない画分があることが明らかとなった。 さらに、アッケシソウの可溶性タンパク質を有効に利用する手段として、ビートパルプ等の可溶性の 炭水化物と組み合わせることにより、ルーメン内微生物の増殖が促進されることが示され、 繊維成分の効率的な消化を促す効果が期待される結果が得られた(第4章)。 以上、本研究の成績から、アッケシソウを含む塩生植物は、反すう家畜の飼料としては、 エネルギー補給飼料には向かないものの可溶性タンパクやミネラルを補給源として用いることができるものと 結論づけられた。 今後、塩生殖物を利用した塩類集積土壌の修復を目的とした家畜生産体系の構築について、さらに研究を進める必要があろう。 |