氏 名 | 齋藤 智子 | 本籍(国籍) | 岩手県 |
学位の種類 | 博士 (農学) | 学位記番号 | 連論 第91号 |
学位授与年月日 | 平成16年9月30日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項該当 論文博士 |
学位論文題目 | 菌核病菌科菌類の分類学的研究 (Txonomic study on Sclerotiniaceous fungi) |
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論文の内容の要旨 | |||
Ⅰ.エンレイソウ菌核病菌の分類学的所属 Ⅱ.カエデ、カツラおよびミズキ環紋様枯病菌の分類学的所属 本研究で新しくカツラ葉上とミズキ葉上に発見された環紋葉枯病菌はプロパギュールと菌核の形状からグループ1に 属するが、プロパギュールの大きさ、培養性状、病原性から共にCrist. depraedans と異なった。よって カツラ上の菌を新種Cristulariella cercidiphylli Y. Harada et T. Narumi, ミズキ上の菌を新種 Cristulariella cornii Y. Harada et T. Narumi と命名記載した。 グループ1とグループ2間の前述の差異は属を分けるに値するものであると考えCristulariella 属の 基準種Crist. depraedans を含むグループ1をCristulariella 属に残し、グループ2を包含するために 新属Conoidia Y. Harada et T. Narumi を提案した。よってこのグループのCrist. moricola (Hino) Readheadは新組み合わせConoidia moricola (Hino) Y.Harada et T.narumi また Crist. pruni Y.Harada et Noro は新組み合わせConoidia pruni (Y.Harada et Noro) Y.Harada et T.Narumi として それぞれ取扱った。 普通の環紋葉枯病菌(Conoidia moricola (= Crist. moricola) の完全世代は (Helotiales, Sclerotiniaceae)の基準種とされる。また、本属第2の種に核果類環紋葉枯病菌の完全世代 G. pruni Y.Harada et Noroがある。今回新たにカエデ菌Crist. depraedans とカツラ菌Crist. cercidiphylli の完全世代を発見した。これらはともに子座性菌核を持ち、子のう盤が小形(径0.2-2mm)である点で、 真正菌核を生じ中形(盤径5-10mm)の子のう盤を持つG. pyramidalis およびG. pruni とは 明らかに異なった。そこで、両菌群を別属として取扱う必要が生じ、Grovesinia 属には基準種G. pyramidalis とG. pruni を残し、新たにカエデ上の菌Crist. depraedans の完全世代をタイプとして新属 Nervostroma 属を提案した。よって前者は新属新種N. depraedans Y.Harada et T. Narumi, カツラ菌の 完全世代は新属新種N. cercidi-phylli Y.Harada et T.Narumi となる。なお、Crist. cornii (ミズキ環紋葉枯病)の完全世代はまだ発見されていない。 核内小rDNAのITS領域と5.8s領域の解析結果からこれまでCristulariella 属に含まれていた Crist. depraedans, Crist. cercidiphylli, Crist. cornii, Crist. moricola, Crist. Pruni は2つの グループに分けられることが分かった。すなわち、Crist. depraedans, Crist. cercidiphylli, Crist. cornii を 含むグループ(便宜上クラスター1と呼ぶ)と、Crist. moricola, Crist. pruni を含むグループ(便宜上 クラスター2と呼ぶ)である。この結果は上記の形態的分類の結果とよく一致した。 以上の研究から各種植物上の環紋葉枯病菌の学名はそれぞれ次にようになる。 カエデ類環紋葉枯病菌 カツラ環紋葉枯病菌 ミズキ環紋葉枯病菌 普通の環紋葉枯病菌 核果類環紋葉枯病菌 |