氏   名
伊藤 智也
本籍(国籍)
青森県
学位の種類
博士(工学)
学位記番号
工 第 19 号
学位授与年月日
平成 16年 9月 30日
学位授与の要件
学位規則第4条第2項該当 論文博士
研究科及び専攻
工学研究科 工学専攻
学位論文題目
節理を考慮した岩場景観のビジュアルシミュレーション法に関する研究
論文の内容の要旨

 近年,コンピュータグラフィックス(CG)は、建設計画等の景観シミュレーション、映画、 アニメーション、マルチメディアコンテンツ、サイエンティフィック・ビジュアリゼーションおよびバーチャルリアリティ等、 さまざまな分野で用いられており、そのためCG技術に関する研究開発も盛んに行われてきている。 このような研究開発の大きな分野のひとつとして、自然現象のビジュアルシミュレーションのためのCG技術の 研究開発があげられる。CGによる自然景観の表現手法の開発において、地形は基本的な景観構成要素として、 重要な研究対象の一つである。これまで、CGにおける架空の地形モデルの生成法としては、フラクタルノイズに基づく 手法や侵食シミュレーションに基づく手法などがあげられる。前者では、かつて中点変位法やFFTによるノイズ生成法など 統計的な手法に基づく架空の地形の表現法として活発に研究された。一方、シミュレーションにより地形を生成する手法として、 水による侵食、運搬、堆積、風化などのシミュレーションに基づくものが提案されてきている。 しかしながら、自然の多くの岩場形状では、節理と呼ばれる明瞭なひび割れ形状が重要な視覚的特徴を与えている。 節理には、割れ方の規則性や割れ目の生成過程の違いにより分類される、「柱状節理」、「板状節理」、「方状節理」などがある。 これまで、節理による特徴的な構造をもつ岩場景観の表現法に関する研究例は極めて少ない。

 本論文では、これらを表現するための節理の形成モデルに基づく岩場地形のモデリング法を提案する。 本論文では、モデリング法として、方状節理の形成過程に基づく岩場形状のモデリング法、柱状節理の形成過程に基づく 岩場形状のモデリング法を提案している。また、地形データには濃度値をもったボクセルを使用している。 方状節理形状の生成法は、(1)岩盤内部での節理のモデル化、(2)岩盤内部における節理分布の生成、および (3)節理によって分断された岩塊の滑落シミュレーション、からなる。柱状節理形状の生成法は、 (1)溶岩形状に対する熱伝導シミュレーション、(2)温度分布から柱の軸となる収縮中心線の生成、(3)収縮中心線を 母線とした3次元ディジタルボロノイ領域分割、および(4)風化シミュレーション、からなる。 また柱状節理形状の生成手法は板状節理の生成にも使用可能である。これらの手法により、さまざまな条件に応じた 節理形状が形成可能となる。

本論文では、まずこれらの手法について詳細に述べ、さらにこれらの手法の有効性を示すために、種々の シミュレーション例を示す。最後に残された興味ある課題について整理する。