氏 名 | ZHAO Bin 趙 彬 |
本籍(国籍) | 中国 |
学位の種類 | 博士 (工学) | 学位記番号 | 工博 第85号 |
学位授与年月日 | 平成16年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項該当 課程博士 |
研究科及び専攻 | 工学研究科 物質工学専攻 | ||
学位論文題目 | L-アラニン水溶液からの結晶化に及ぼす強磁場の影響 Influence of Magnetic Field on L-alanine Crystallization from Aqueous Solution |
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論文の内容の要旨 | |||
本論文は、新しい昌析操作因子として磁場環境を取り上げ、L-アラニン結晶の成長速度への磁場の影響について 検討したものである。 磁場速度が0Tから5Tまで可変可能な超伝導マグネット中で、溶液の過飽和度が7℃になるように設定した成長セル中の結晶の (011)面および(120)面の成長速度を「その場観察装置」を利用して求めた。磁場により、結晶成長速度が抑制された。なお、 その変化は、磁場強度が0Tから1Tまで増加すると共に成長速度が減少したが、1Tから5Tまではあまり変化せず抑制効果に飽和状態が伺えた。 この抑制効果はAFM観察結果に基づく、磁場中では結晶表面の成長単位が小さいこと、また結晶配向が生じること及び対流速度が遅くなる ことが原因として考えられることを提出した。 また本装置は不均一磁場として、磁場中心からの上下鉛直方向における磁場勾配の強度は距離が増加すると共に減少する。そして、磁場中心より 上部に反磁性体が設置されると、磁気力が上向きに働き、磁気力と重力は互いに打ち消す方向に働く。そのため、重力が擬似的に減少した状態になる。 逆に磁場中心より下部に反磁性体が設置されると、擬似的に重力が増加したとみなせる状態となる。したがって、中心磁場の強度が5T、 の場合であると、中心から鉛直方向に±60mmから±160mmの位置で結晶成長を行うと、溶液は重力の2.4%~5.7%の増減の力を受けていることになる。 実験で得た成長速度は上向き磁気力を受ける場合は遅くなり、逆に下向き磁気力を受けると速くなることが分かった。 その場合セル内の対流速度の変化にも同様の傾向が見られた。ここに、擬似的な重力(磁気力)も成長速度に影響を与える1つの要因ことを明らかにした。 さらに磁場下でL-グルタミンとL-アスバラギン酸をそれぞれ添加してL-アラニンの結晶成長速度への影響を調べた。 過飽和度(2℃,5℃,7℃,及び10℃)と添加物濃度(2%)について、通常磁場下における成長速度と比較した。そして無磁場中では添加物の存在により、 結晶成長速度が抑制されたが、磁場中では、この抑制効果が減少すること明らかにした。これは、磁場下での成長単為の小さいこと、 配向しやすいこと、添加物の存在により、成長単位が凝集しやすくなること、および配向構造を乱雑になることなどを原因として考察を加えた。 さらに実験的な検討を進めることで、より明確になるものと考えられる |