氏   名
雷  莉 萍
本籍(国籍)
中 国
学位の種類
博士(工学)
学位記番号
甲 第20号
学位授与年月日
平成11年3月23日
学位授与の要件
学位規則第4条第1項該当
専  攻
電子情報工学専攻
学位論文題目
精密補正AVHRR画像データによる内モンゴル半乾燥草原環境の解析及び評価

論文の内容の要旨

 本研究は、精密補正されたNOAA/AVHRR画像データをもとに、内モンゴルの半乾燥地草原環境の解析及び評価手法を確立することを目的としている。内容は、以下の2つ部分に大別される。

1.AVHRR画像データの精密補正手法の確立

 AVHRR画像データに存在している主な歪みの補正には、センサ校正、幾何補正及び大気補正の3つがある。センサ校正と幾何補正は衛星のセンサ、軌道及び地表の球面特性などに由来するものであり、大気補正は太陽−観測地点−センサの光路で大気によるセンサに入射する反射・放射光の吸収・散乱の影響を受けた歪みを除去するために生ずるものである。本論文では、既存のセンサ校正と幾何補正プログラムPaNDAと、本研究による開発した大気補正プログラムを一貫して統合処理システムを開発した。大気補正では、処理時間の短縮をはかるために、放射伝達プログラム「6S」codeを用いて熱帯・中緯度・寒温帯の大気モデル別に作成したLook-Up-Table方式を採用してプログラムパッケージを作成した。これによって、全球を対象とした画素毎に標高及び太陽−観測地点−センサの相対位置関係を考慮した大気補正が可能となった。また中国内モンゴル地域の実測データと補正されたAVHRR画像との照合検証をおこなったところ、補正の有効性を確認することができた。

2.精密補正されたAVHRRデータによる内モンゴル半乾燥草原バイオマスの推定

 内モンゴルの半乾燥地域を対象として、精密補正されたAVHRR画像データから算出した植生変数を用いてバイオマスを推定する方法を検討した。解析は、AVHRR画像から算出した植生変数と1996年の最大繁茂期の地上バイオマス実測データとの回帰分析をもとに行った。回帰分析は、植生変数にはNDVI、PVI、MSAVI及びGEMIの4種植生指数について、変数の形式には単時期型及び累積型の2種、推定式には1次関数、2次関数及び指数関数の3種、及びAVHRR画像には大気効果補正前と補正後の2種の合計48種の組合わせについて実施した。回帰分析結果を総合判断したところ、対象領域のバイオマスの推定には、精密補正された画像から算出したMSAVIの単時期型変数の2次関数型の推定式が最適であることを判明した。推定式をもとに作成した内モンゴル地区のバイオマス分布図を作成したところ、従来の知見をよく一致しており、開発された手法が有効であることが確認できた。AVHRRデータによる草原バイオマスを推定する手法については、アフリカやオーストラリアについては幾つかの報告があるが、アジア地域については見当たらない。この意味においても、本研究の成果は貴重なものと言えよう。