図書館を取り巻く環境の変化に対応して

情報メディアセンター長(図書館長) 西崎 滋

          

国立大学法人岩手大学は、「地域における知の府としての役割を果たす教育研究の場、すなわち、岩手の風土に根ざした“イーハトーブの学び舎”として、教育、社会貢献活動を推進する。(中略)これらの取り組みを通して、国際的な視野を持ち、幅広い教養と深い専門性を備えた多様な人材、高度専門職業人及び研究者の育成を目指すとともに、持続可能な共生社会の形成に寄与することを使命とする。」を大学の基本的な目標として、第二期6年間に向けて船出しました。この中で、図書館は教育、研究、社会貢献のそれぞれの分野で独自の役割を担うことが求められています。

図書館には約86万冊を越える蔵書がありますが、こうした従来からの紙媒体を主とした学術資料だけでなく、近年では電子ジャーナル、電子書籍、データベースといった電子媒体による学術資料も重要性を増してきています。図書館が、学習、教育、研究のライフラインとしての役割を継続して果たすためには、これら両媒体による学術資料を提供できる学術情報基盤の整備・強化が欠かせません。
 図書館のサービスについては、これまで利用者の利便性の向上に心掛けてきました。利用者の多様なニーズに応えて、利便性をさらに向上させる目的で、学習の場としての新たな空間(ラーニング・コモンズ)の設置を検討しています。利用者が静かに書籍に目を通したりレポートを書いたりするこれまでの学習空間以外に、図書館の資料等をもとにグループで討論したり会話したりできるような新たな空間を提供することにより、学習の場としてのあらたな展開を目指すものです。
 また、大学の貴重な学術情報を学内の利用にとどめておくのは得策ではありません。これまでも広く学外からの利用に門戸を開いてきました。岩手県内の5つの国公私立大学が連携する「いわて高等教育コンソーシアム」の事業として、図書館の相互利用も行っています。今後は、地域との連携をより強化するとともに、機関リポジトリ等の充実によって、大学における研究成果を学外へ発信していくことが課題となっています。地域に開かれ、地域に根ざした大学の一翼を担って、地域の生涯学習・文化活動を積極的に支援していくことも重要になってきています。

このように図書館は従来にも増して多様な業務を遂行していくことが求められます。それを支える図書館専門職員の数は十分とは言えませんが、力を合わせて最大限の努力を重ねて生きたいと考えています。学内の皆様にはあたたかいご支援とご協力をお願いいたします。

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